弁護士への転職を目指す人へ|仕事内容・資格・必要な知識・向き不向き・将来性・やりがい・収入まで徹底解説

「法律を武器に人を助けたい」「専門性の高いキャリアを築きたい」──そんな想いから弁護士を目指す人は少なくありません。
ただし弁護士は高度な専門資格であり、資格取得までの道のりは長く険しい一方、得られるやりがいと社会的信用は大きなものです。
この記事では、弁護士を目指す人に必要な情報を、仕事内容・知識・資格・向き不向き・将来性・やりがい・収入・まとめの順に解説します。
弁護士の仕事内容を徹底解説|裁判だけじゃない“法律の専門家”の仕事
弁護士というと「法廷での弁護人」というイメージが強いですが、実際にはもっと幅広い業務を担っています。
ここでは、弁護士の仕事を分野ごとに深掘りして解説します。
1. 訴訟・裁判関連業務
弁護士の代表的な仕事が 訴訟代理人 として裁判に出廷する業務です。
- 民事事件:金銭トラブル、交通事故、労働問題、離婚・相続など。
- 刑事事件:被告人の弁護、被害者支援。
- 行政事件:行政処分に不服がある場合の争訟。
👉 法廷での主張・立証活動は、弁護士の花形業務といえます。
2. 法律相談業務
日常生活や企業活動における法的トラブルの相談に応じます。
- 離婚や養育費の相談
- 借金・債務整理
- 労働問題(残業代未払い、解雇など)
- 消費者トラブル
👉 法律相談を通じて、トラブルを裁判にせず解決へ導くケースも多いです。
3. 契約書作成・チェック
特に企業法務の分野で重要です。
- 契約内容の法的リスクを洗い出す
- 取引先との交渉を有利に進めるための文言修正
- 海外取引に関する英文契約の確認
👉 契約段階でリスクを減らすことで、訴訟を未然に防ぐ役割を果たします。
4. 企業法務
企業の“かかりつけ医”のように、日常的な法務サポートを行います。
- コンプライアンス体制の構築
- 株主総会や取締役会の運営サポート
- M&A(合併・買収)の法務デューデリジェンス
- 知的財産権(特許・商標など)の保護
👉 特に大手法律事務所やインハウスローヤー(企業内弁護士)で需要が高い分野です。
5. 刑事弁護・被害者支援
刑事事件においては、被告人や被害者を支援します。
- 被告人弁護(無罪主張や量刑軽減)
- 被害者参加制度に基づく代理人業務
- 少年事件の付添人活動
👉 刑事事件は依頼者の人生に直結するため、社会的意義の大きい仕事です。
6. 家事事件(家庭問題)
家族や相続に関する問題は、弁護士の主要業務の一つです。
- 離婚調停・離婚訴訟
- 財産分与・慰謝料請求
- 親権や養育費の交渉
- 遺産分割・遺言書作成
👉 感情が絡むため、調停や交渉スキルが特に重要です。
7. 新領域の法務
現代社会の変化に伴い、新しい法的ニーズが拡大しています。
- IT・AI法務(個人情報保護、データ利用契約)
- 国際取引・国際仲裁
- 環境法務・エネルギー関連法務
- 医療過誤や医薬品関連訴訟
👉 専門性を磨けば、高収入かつ需要の高い分野で活躍できます。
弁護士に必要な知識
弁護士として活躍するには、幅広い法律知識と論理的思考力が欠かせません。
- 基本六法の知識
憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法。 - 実務法務
労働法、知的財産法、独占禁止法、会社法など。 - 判例理解
法律は条文だけでなく、判例の積み重ねによって運用されるため重要。 - 語学力・国際法
グローバル化に伴い、英語や国際取引に関する知識も求められる。
👉 単に暗記するだけではなく、事案に応じて法を応用する力が必要です。
弁護士に必要な資格
弁護士になるには、司法試験に合格し、司法修習を修了する必要があります。
ステップ1:法科大学院or予備試験
- 法科大学院(ロースクール)修了者
- 予備試験合格者(大学卒業を問わず受験可能)
どちらかのルートで司法試験の受験資格を得ます。
ステップ2:司法試験
- 年1回実施。憲法・民法・刑法・商法・訴訟法などを中心に出題。
- 合格率は20%前後。難関試験です。
ステップ3:司法修習
- 約1年間、裁判所・検察庁・法律事務所で研修。
- 修了試験に合格後、正式に弁護士登録可能。

弁護士に向いている人・向いていない人|資質・性格・スキルの観点から解説
弁護士は「頭が良い人がなる職業」と思われがちですが、実際には 知識以上に人間性や資質 が求められます。ここでは、弁護士に向く人と不向きな人の特徴を詳しく見ていきましょう。
弁護士に向いている人の特徴
1. 論理的思考力がある人
- 事実関係を整理し、法的に筋道立てて考えられる。
- 複雑な問題を「前提・論点・結論」に分解できる。
👉 弁護士にとって 論理構成力は武器 です。
2. 忍耐力と継続力がある人
- 調査や判例研究に膨大な時間をかけることが多い。
- 依頼者との信頼関係もすぐには築けない。
👉 一朝一夕で結果が出ない仕事を「粘り強く続けられる人」が強いです。
3. 責任感が強い人
- 弁護士の判断は依頼者の人生を左右する。
- 誤った助言や怠慢は大きな損害につながる。
👉 「依頼者を最後まで守る責任感」 が不可欠です。
4. コミュニケーション力が高い人
- 裁判所での主張、依頼者への説明、相手方との交渉。
- 専門用語をかみ砕いてわかりやすく説明できる力。
👉 話し上手よりも「相手に合わせて伝える力」が重要です。
5. ストレス耐性がある人
- 裁判は長期化し、交渉も対立がつきもの。
- 強いプレッシャーやクレームにさらされることもある。
👉 精神的にタフであることは、弁護士として必須条件です。
6. 学び続けられる人
- 法律は改正され続け、判例も積み重なっていく。
- IT法務や国際法務など、新しい分野も常に登場する。
👉 学びを楽しめる人ほど成長でき、活躍の場も広がります。
弁護士に向いていない人の特徴
1. 短気で感情的になりやすい人
- 裁判や交渉では冷静さが命。
- 感情的になると依頼者や裁判官の信頼を失う。
2. 長時間の勉強や調査が苦手な人
- 資料の読み込み、書面作成、判例研究など、地道な作業が大半。
- 「派手な法廷活動」だけを期待するとギャップに苦しむ。
3. コミュニケーションが苦手な人
- 弁護士は「話す仕事」「聴く仕事」でもある。
- 人前で説明するのが極端に苦手だと不利。
4. 不確実性やリスクを避けたい人
- 弁護士の助言は常にリスク判断を伴う。
- 「絶対勝てる」と保証できない世界で戦えない人は向かない。
5. 学習意欲が低い人
- 法律は常に変わるため「資格を取ったら終わり」では通用しない。
- 学び続ける姿勢がなければ、実務に対応できなくなる。
弁護士の将来性
ポジティブ要素
- 企業法務の拡大:M&A、IT法務、国際取引などの需要増。
- 国際化:海外案件やクロスボーダー取引への対応。
- 新領域:AI、データ保護、知財法務などの分野で需要が拡大。
課題
- 弁護士数は増加傾向で「都市部では競争が激化」。
- 一方で地方は弁護士不足が深刻。
👉 専門分野を持ち差別化できる弁護士は、将来性が高いといえます。
弁護士という仕事のやりがい
- 依頼者を守れたときの達成感
無罪判決や和解成立など、依頼者の人生に直結する成果を出せる。 - 社会正義の実現
法律を通じて社会のルールを守り、秩序を支える存在。 - 成長実感
常に勉強が必要で、自分自身も知識やスキルを磨き続けられる。 - 社会的信用
弁護士という資格は、社会的に大きな信頼と評価を得られる。
弁護士の収入レンジ
収入は働き方や所属によって大きく異なります。
- 新人弁護士(初任給):月収30〜50万円程度(事務所による差あり)
- 30代平均年収:700〜900万円程度
- 大手法律事務所(渉外系):1,000万円〜2,000万円超も可能
- 独立開業:成功すれば高収入だが、依頼が少なければ収入不安定
👉 公務員型(裁判官・検察官)に進む場合は、年収600〜1,000万円台で安定。
(参考:日本弁護士連合会「弁護士白書」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)
まとめ|弁護士は「学び続ける覚悟」で目指すべき職業
弁護士は、単なる「法律の専門家」ではなく、人の人生や社会全体に影響を与える存在です。
その分、大きな責任とプレッシャーを伴いますが、同時にかけがえのないやりがいと社会的信頼を得られる仕事でもあります。
弁護士という職業の本質
- 知識職ではなく解決職
六法を暗記しているだけでは弁護士は務まりません。依頼者の状況を理解し、法律を道具として最適な解決策を導き出すことが求められます。 - 変化に適応し続ける職業
法改正、判例の積み重ね、国際化、テクノロジーの進歩…。弁護士は時代の変化とともに、常に新しい領域を学び続ける必要があります。 - 人間力が問われる仕事
法廷での主張や交渉力だけでなく、依頼者に寄り添う姿勢、冷静な判断力、誠実さといった資質が大きく影響します。
弁護士を目指す人へのメッセージ
- 勉強の覚悟
司法試験に合格するまでの学習量は膨大で、合格後も研鑽は続きます。学びを楽しめる人ほど強くなれます。 - 責任の覚悟
あなたの判断や行動が、依頼者の人生を大きく変える可能性があります。その責任を背負える強さが必要です。 - 挑戦の覚悟
弁護士は競争も激しい世界ですが、専門分野を磨けば必ず活躍の場があります。地方や新領域でも需要は高まり続けています。
最後に
弁護士は決して楽な道ではありません。
しかし、「人を助けたい」「正義を実現したい」「社会の基盤を支えたい」という想いがある人にとって、これほど誇りを持てる仕事は他にないでしょう。
👉 弁護士はまさに、「学び続ける覚悟」で挑む価値のある職業です。