税理士とは?どんな仕事?
1. 税務申告の代理
- 法人税・所得税・消費税・相続税など、法律に基づいて計算し、申告書を作成・提出する。
- 税理士にしか認められていない「独占業務」。
- 例:会社の決算時に利益をもとに法人税を計算し、申告書を税務署に提出する。
2. 会計・記帳代行
- 企業や個人事業主が日々の取引を正しく記録しているか確認。
- 領収書や請求書を整理し、帳簿を作成。
- 中小企業では「経理担当がいない」場合も多く、税理士事務所が全面的にサポートすることもある。
3. 経営アドバイス
- 数字の専門家として、経営者に改善提案を行う。
- 例:資金繰りのアドバイス、節税対策、投資判断のシミュレーション。
- ただの「税金計算」ではなく、経営のパートナーとして信頼される存在。
4. 相続・贈与の相談
- 相続税や贈与税の計算、遺産分割のアドバイス。
- 富裕層や高齢化社会でニーズが拡大している分野。
- 税務署に提出する相続税申告書は、税理士にしか作成できない。
5. 税務調査の立ち会い
- 企業や個人に対して税務署が調査を行う際に立ち会い、クライアントをサポート。
- 税務署との交渉役となり、過大な課税がされないように調整。
- 精神的な安心感を与える重要な業務。
6. 専門分野の仕事
- 国際税務:海外進出する企業の税務リスク対応
- M&A(企業買収・合併):企業価値評価や税務デューデリジェンス
- 資産税:不動産・株式などの資産管理と節税アドバイス
- スタートアップ支援:創業時の資金調達や会計処理の指導
税理士になる方法
① 3つの到達ルート
- A:税理士試験に合格(計5科目)+実務経験2年以上+登録。最も一般的。
- B:公認会計士 or 弁護士 → 税理士会へ登録(試験は不要)。
- C:国税OB(一定年数勤務+所定研修) → 免除制度で資格取得可。
② 税理士試験のしくみ(何を合格すればよい?)
- 必須(会計):簿記論・財務諸表論(2科目)
- 税法(3科目):
- 所得税法 or 法人税法のどちらか1科目は必須
- 残り2科目は〔相続税法/消費税法または酒税法/国税徴収法/住民税または事業税/固定資産税〕から選択
- ※「消費税法と酒税法」「住民税と事業税」は同時選択不可。
試験時期(2025年):8/5〜8/7、申込は4/21〜5/9、合格発表11/28(国税庁発表)。
受験手数料:1科目4,000円/2科目5,500円/…/5科目10,000円。
③ 受験資格(2023年から緩和)
- 会計2科目(簿記論・財務諸表論)は誰でも受験可。
- 税法科目は下記のいずれかを満たす:
- 学識:大卒・短大卒で社会科学の科目履修/大学3年次で62単位以上など
- 資格:日商簿記1級・全経上級・会計士短答合格 など
- 職歴:会計・税務等の関連業務で通算2年以上
- 認定:国税審議会の個別認定(海外大卒などのケース)
※ 詳細・証明書類は国税庁の案内を確認。
④ 合格後〜「名乗れる」まで
- 実務経験2年以上(会計事務・税務補助 等)。
- 日本税理士会連合会に登録(各地税理士会経由)。
- ※登録時の費用・年会費は地区で差あり(目安額は各会へ要確認)。
⑤ 学習ロードマップ(最短2〜3年想定)
- 年0(導入3か月):簿記3級→2級→範囲把握
- 年1:簿記論/財務諸表論(会計2科目)
- 年2:消費税法+相続税法(理解を積み上げやすい税法)
- 年3:法人税法 or 所得税法(重科目)
- ※ 早期に会計2科目合格→会計事務所で実務を並走すると、登録までの時間を短縮しやすい。
⑥ 免除制度の概要(知っておくと設計が立てやすい)
- 学位(修士・博士の研究テーマ等)で一部科目免除の制度あり。
- 国税従事者:勤続年数に応じて会計・税法の免除あり(例:税法科目免除、長期勤続+研修で会計も免除)。詳細は国税庁・日税連の資料を確認。
⑦ 実務経験の積み方(2年要件の取り方)
- 税理士事務所・会計事務所での記帳・申告補助
- 企業の経理(月次・決算補助)
- 金融機関・官公庁の会計・税務関連 など。
⑧ よくある戦略(科目順と働き方)
- 王道の順番:会計2科目 →(消費税 or 相続税)→(法人 or 所得)
- 働きながら:繁忙期(2〜5月)は税法の理論暗記&計算演習を朝活に寄せる
- 学校選び:通学(ペース管理◎)か通信(時間自由◎)。答練の回数・復習動画の質を重視
⑨ つまずきポイントと対処
- 科目の取りこぼし:毎週の**答練→復習(48h以内)**を固定化
- 理論が覚えられない:頻出条文から“骨格→肉付け”の順で
- 仕事と両立:繁忙期の前倒し学習+休日は暗記特化に切替
⑩ まず何をする?
- 今年の受験スケジュールと手数料を国税庁で確認。
- 会計2科目の教材を1セット決め、来年8月に照準。
- 並行して実務2年を積める職場を検討(所長面談で学習支援の有無を確認)。
向いている人・向いていない人
向いている人
- 数字やデータを扱うのが好きな人
- コツコツ努力できる人(長期の勉強が必要)
- 誠実で責任感が強い人(お客様のお金を扱うため)
- 人の話をよく聞き、信頼関係を築ける人
向いていない人
- 長時間の勉強や試験に耐えられない人
- 数字や論理的な思考が苦手な人
- お客様対応が面倒に感じる人
キャリアパス
- 税理士事務所勤務:申告業務や会計処理を中心に担当
- 独立開業:経験を積んだ後、自分の事務所を開業
- 企業内税理士:大企業や外資系企業で経理・税務の専門職
- コンサルタント:M&A、国際税務、資産税などの専門分野で活躍
税理士の将来性
1. 安定した需要が続く
- 法人税・所得税・消費税・相続税などは、法律で申告義務があるため、なくならない。
- 中小企業や個人事業主の多くは経理担当がいないため、**「税理士に頼まないと回らない」**という状況が続いている。
2. 相続・事業承継分野の拡大
- 日本は高齢化が進み、相続税の申告件数は増加傾向。
- 中小企業の経営者が高齢化し、「事業承継」も大きな課題に。
- 相続・贈与・資産税に強い税理士は、今後さらに価値が高まる。
3. 国際税務・グローバル化
- 海外進出する中小企業や、外資系企業の日本拠点も増えている。
- 国際税務(移転価格税制や二重課税防止など)の知識を持つ税理士は希少で、報酬も高め。
- 英語+税務スキルを持つ人材は将来性が非常に高い。
4. AI・クラウド会計の影響
- 記帳や単純な仕訳業務は自動化されつつある。
- ただし、自動で処理された数字をどう経営に活かすかを考えるのは人の役割。
- 税理士は「作業者」から「コンサルタント」へシフトしていく流れ。
5. キャリアの広がり
- 税理士事務所勤務 → 独立開業(顧客獲得で収入アップ)
- 企業内税理士(経理部門・財務戦略担当)として安定勤務
- コンサルティング会社でM&Aや資産管理に特化
👉 専門性を磨けば、幅広いキャリアを選べるのが強み。
6. 独立開業の可能性
- 税理士は全国どこでも需要があるため、地方移住や独立もしやすい。
- クラウド会計とオンライン面談の普及で、地理的な制約が減り、個人事務所でも全国対応が可能になっている。
まとめ
税理士は「税金の計算をする人」ではなく、
経営者や個人の人生に寄り添い、お金を通して支える専門家です。
確かに、試験は難関で勉強期間も長くかかります。
しかし、その先には「一生食べていける資格」としての安定と、
「ありがとう」と信頼されるやりがいがあります。
今日の一歩は小さくても大丈夫。
簿記の勉強を始める、受験の情報を調べる――それが未来の税理士への第一歩です。
挑戦する勇気を持ったあなたなら、必ず道を切り開けます。
不安を抱えるよりも、まずは一歩。
その一歩が、新しいキャリアと人生の可能性を広げてくれます。
ABOUT ME
はじめまして。
40代後半、過去6回の転職を経て現在は不動産賃貸業の傍ら、法人経営をしています。
20代の頃、何度も転職を繰り返していました。
「自分に合った仕事ってなんだろう?」と悩みながらも、一度きりの人生、自分がやりたいことが見つかるまで、何度でも挑戦しようと決めていました。
その結果、30代でようやく仕事の楽しさを実感できるようになり、転職によって給料もアップ。無駄な残業も減り、時間と心にゆとりが生まれました。
その余白の中で副業を始め、増えた収入をもとに投資にも挑戦。資産形成も順調に進んでいます。
いまは「働き方は自分で選ぶ時代」。
かつての自分と同じように、転職や働き方に不安を抱えている方に向けて、自分の経験を通して少しでも役立つ情報を発信しています。
このブログが、あなたのキャリアと人生の“道しるべ”となりますように。